12.マンションの地中埋設排水管の漏水

大手の建設業者が施工したマンションの事例です。

しかし、実態は地元建設業者が施工し、販売戦略上大手の建設業者が名義貸しを行ったマンションでした。

地中埋設排水管の漏水は、建物完成後約10年が経過して明らかになりました。事件の発端は、住戸の排水が悪く、悪臭がしたり、洗濯機パンから蛆虫がはい出したことなどです。内視鏡カメラで排水管を調査すると、配管継手の破損箇所や配管のたわみで管内が満水状態になっている箇所が明らかになりました。

1階の床スラブを解体撤去して排水管の補修が行われましたが、併行して排水管の調査を行いました。調査結果は以下のとおりです。

1 破損排水管の不同沈下
排水管の破損は、45°Y、90°Y、エルボ、ソケットの継手で発生していました。特に、地中梁貫通付近とパイプシャフト下部の破損箇所は、排水管がコンクリートで固定されているため、破断面の不同沈下が大きく、沈下量が8cmを超える住戸もありました。

2 排水管支持金物及び防錆処置の未施工
本件マンションの竣工図の特記仕様書には「特記仕様書に特記なき事項は日本建築家協会監修建築設備工事共通仕様書に準ずる事」と記載されています。しかし、管支持金物は共通仕様書に基づく施工が行われておらず、建築用の鉄筋をU形に曲げ加工し、床スラブコンクリート内に定着していました。また、鉄筋は錆止め塗装や溶融亜鉛めっきが行われておらず、錆で腐食していました。

3 横走り管支持間隔の施工不良
共通仕様書にはビニル管の横走り管支持間隔が記載されています。また、施工図に管支時箇所が図示された住戸もありました。しかし、調査を行った全ての住戸で管支持金物が不足していました。

4 長い共用横走り管
マンションの排水管は通常、住戸の縦系統毎に屋外会所に配管します。しかし、本件マンションの縦系統排水管は、1階床下で複数の住戸間(3住戸、6住戸、8住戸)を横走りして3箇所の屋外会所に配管されていました。そのため、共用横走り管が地中梁貫通付近で破損すると縦系統の住戸が影響を受ける状態にありました。

5 配管勾配の不良
共通仕様書は横走り排水管の勾配を「口径75mm以下は1/50、口径100〜150mmは1/100以上」としていますが、勾配不良や逆勾配の排水管が多数確認されました。

6 埋戻し土の沈下
1階床スラブコンクリートの下部は、基礎工事後埋戻しが行われますが、各住戸共スラブコンクリート下部に4〜21cmの空洞が生じており、埋戻し土の転圧不足を示していました。

7 埋戻し土の不良
埋戻し土には大きな石やC形鋼、木片などが混入しており、基礎工事時の根切り土が埋戻し土に使用されていました。

8 点検不能な埋設排水管
1階の横走り排水管は全て1階床スラブコンクリート下部の土中に配管され、いわゆる「埋殺し配管」になっていました。そのため、埋設排水管は点検できない状態です。排水管の破損事故が起きると、床スラブコンクリートのはつりを伴う補修となり、多大な費用が生じます。

本件マンションは埋設排水管の維持管理を考慮していない施工でした。

以上の調査結果から、埋設排水管の破損原因は埋戻し土の不良及び転圧不足、管支持金物の不適及び防錆処置の未施工、管支持間隔の施工不良であることが明らかになりました。

本件マンションの管理組合は、事業主及び施工者に対して損害賠償請求事件として訴訟を起こしました。

施工者は、埋設排水管の破損原因が阪神・淡路大震災による地盤の液状化現象であると主張しましたが、本件マンション近辺では液状化現象が生じていないことを立証し、原告勝訴で事件は解決しました。