10.マンション最上階界壁のひび割れ

管理組合から依頼されたひび割れ調査で、時にはマンション最上階住戸の界壁にひび割れが生じているケースがあります。その一つに界壁のひび割れを争点として、管理組合が大手マンション業者と直接交渉して解決した事例があります。

当該マンションの住戸界壁のひび割れは最上階の住戸に集中し、ひび割れは界壁の端部で八の字形に発生していました。ひび割れ幅は0.25mm〜0.5mmでした。しかし、外壁の妻壁にはひび割れは生じていません。

また、竣工図の断面詳細図によると、屋上はコンクリート直押えの上にアスファルト露出防水、屋上スラブ下には断熱材スタイロフォーム厚さ5cmが打込まれていました。

最上階界壁の八の字形のひび割れは、技報堂出版?発行の「コンクリート構造物の補修ハンドブック」に「事例2 集合住宅の最上階戸境壁の八の字ひび割れ」として記載されていますが、全く同じ事例です。

界壁の八の字形のひび割れは以下の原因で生じたものです。

1 屋上スラブが太陽熱による熱膨張により外側に広がり、温度応力により引張クリープ(引張応力がある限度以上の場合には、変形が漸増してついには破壊に達する)が生じた。

2 屋上スラブ下が断熱材打込みのため、屋上スラブ下面からの熱の発散を阻害し、スラブ温度をさらに上げる結果になった。

3 界壁コンクリートの厚さが15cm、配筋がD10−@25cmのチドリ配筋であるため、引張力に対する拘束力が弱い。

マンション最上階界壁のひび割れとその原因は、建築業界では周知の事実です。また、界壁の八の字形ひび割れは、太陽熱による屋上スラブの熱膨張が原因であるため、ひび割れ補修後もひび割れが生じるおそれがあります。

管理組合とマンション業者は、既存のアスファルト露出防水を、屋上表面に断熱材を設置する外断熱アスファルト露出防水に変更することで合意し、事件は解決しました。


界壁の八の字型ひび割れ