2. 木造住宅べた基礎の鉄筋のかぶり厚さ不足及び
  鉄筋量の不足

最近の木造住宅の基礎はべた基礎が多く採用されています。べた基礎は建物全体を一枚の基礎で受けたもので、隙間なく一面に設けた基礎です。地盤の支持力が少ない場合などに用いられます。

木造住宅のべた基礎の多くは厚さ15cmです。鉄筋は直径1.0cmまたは1.3cmの異形鉄筋で、20cm間隔のもち網状に配筋されるのが通常です。

鉄筋をコンクリート厚さの中央部に配置すると、鉄筋のかぶり厚さ(べた基礎底部から鉄筋までの距離)は、直径1.0cmの鉄筋の場合、6.5cm(15cm÷2−1.0cm)になります。

建築基準法施行令第79条は基礎の鉄筋のかぶり厚さについて「基礎(布基礎の立上り部分を除く。)にあっては捨コンクリートの部分を除いて6cm以上としなければならない。」と定めています。

鉄筋コンクリート造の鉄筋は、コンクリート内に生じる引張力を負担します。また、コンクリートがアルカリ性である期間は鉄筋に錆が生じませんが、年月を経るとコンクリートは中性化が進行します。鉄筋箇所のコンクリートが中性化すると鉄筋に錆が生じ、コンクリートに生じる引張力を負担することができなくなり、鉄筋コンクリート造の効用を失います。

建築基準法施行令第79条は、土に接する基礎に対して水分や有機物に接する厳しい環境条件を考慮して6cm以上のかぶり厚さを定めているのです。

ところが、木造住宅のべた基礎は鉄筋のかぶり厚さ6cmが確保できていない事例が多く見られます。

木造住宅のべた基礎は、掘削した地表面に割石や砕石を厚さ10cm程度敷き並べ、その上にビニールシートの防湿材を敷いて配筋し、基礎コンクリートを打設します。

また、鉄筋のかぶり厚さを確保するために、鉄筋の下にコンクリートのレンガ片を設置してコンクリートを打設しています。

しかし、基礎コンクリートの打設時に、作業員が鉄筋を踏みながら作業します。そのため、かぶり厚さを確保するコンクリートのレンガ片が外れたり、割石、砕石内に沈んで鉄筋が下がります。また、直径1.0cmの鉄筋は作業員の体重で曲がります。その結果、6cmの鉄筋のかぶり厚さが不足し、法令違反のべた基礎になります。

基礎の鉄筋のかぶり厚さを確保するためには、基礎コンクリート底部に捨てコンクリートを打設の上、直径1.3cm以上の鉄筋を配筋し、金物加工のスペーサーを数多く設置して、基礎コンクリートを打設することが重要です。また、基礎コンクリートの厚さは20cm程度とし、余裕ある鉄筋のかぶり厚さを確保することが望まれます。

基礎の鉄筋のかぶり厚さの概略は、RCレーダの非破壊検査で確認することができます。また、正確な調査は、コアボーリングでコンクリートに孔を開けて実測します。

基礎のかぶり厚さが不足している場合は、1階の床を撤去してべた基礎の上部に新たに配筋し、厚さ10cm程度のコンクリートを打設する補修が必要となり、補修費用も高額になります。

また、べた基礎の鉄筋が下がってかぶり厚さが著しく不足する場合、べた基礎の必要鉄筋量を構造計算すると、基礎コンクリートの中央部で鉄筋量が不足する結果になります。この場合も、1階の床を撤去して基礎コンクリートの上部に配筋し、厚さ10cm程度のコンクリートを打設する補修が必要となります。

木造住宅のべた基礎は鉄筋のかぶり厚さが6cm以上確保できるように、設計と施工に注意する必要があります。